高島先生健在
前々から「黄色い」という言い方に違和感を持っている。「色」という語(名詞)に直接「い」をつけて形容詞にしていることが違和感の理由である。
通常、名詞に「い」がついて形容詞になることはない。「山い」「花い」などの形容詞がないこと言うまでもない。
「色い」にしても、現在言えるのはこの「黄色い」と、比較的最近言われるようになった「茶色い」だけである。そのほかは、「空色い」「水色い」「草色い」「チョコレート色い」など皆言わない。「茶色い」につづいて言われ出すのは「桃色い」ではなかろうかという気がする。
最近、友人たちとの携帯電話メールのやりとりのなかで色の名の話が出た。それでこの「黄色い」についてちょっと書いておこうという気になった。
(『お言葉ですが別巻4』p.135)
さりげなく自慢している。携帯電話メールのやりとりだって。高島俊男先生は昭和十八年に国民学校に入ったというお年である。
この「「黄色い」ということば」のほか、「いぎたない」「中華民国牡丹江省……?」「チャリンコ」「「なのる」の意」「女の学校」がむかしの『お言葉ですが』のスタイルである。連載しているのだったら読者がどんどん手紙を寄せただろう。ところが別巻4は一篇を除いて全部書き下ろしである。てっきり講談社の『本』に連載しているものをまとめたものだと思っていた。
高島先生健在である。買わなければ損。

目次(全体320頁)
ことばと文字と文章と(120頁)
いぎたない
「黄色い」ということば
中華民国牡丹江省……?
チャリンコ
「なのる」の意
女の学校
富永仲基の画期性
平田篤胤と片山松斎(30頁)
ラバウルの戦犯裁判(55頁)
閔妃殺害(23頁)
昭和十年代外地の日本語教育(50頁)
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コメント
今から買いに行きます。
投稿: 森と申します | 2011年9月19日 (月) 16時42分
高島先生万歳!
投稿: 三十郎 | 2011年9月23日 (金) 04時52分