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2011年12月10日 (土)

誤訳談義(3)

 英語ではもっとひどい誤訳があって、元東京高裁判事の倉田卓次氏が「訳者を告発したくなった」と言う。

告発 
犯人および告訴権者以外の第三者が,捜査機関に犯罪事実を申告し,犯人の処罰を求める意思を表示すること。犯罪があると認めるときは,だれでも告発をすることができる(ただし,故意に偽りの告発をしたときは虚偽告訴罪(刑法172条)ないし虚構犯罪申告罪(軽犯罪法1条16号)に問われることがある)。(世界大百科事典)

 もちろん倉田氏は専門家で「告発」という言葉の使い方はよく知っているのである。犯罪があると認められた翻訳家は榊原晃三氏。講談社刊の『唇からナイフ』を訳した。

 僕はこの本は読んでいない。映画を見て「モニカさんなら、現代の愛の不毛だろうに」と思った覚えがある。倉田氏は「病みつきになって、ここ10年Pan Booksで新しい一冊が出る度に買って読んだ」という。原著は10冊くらい出ているのに、最初に犯罪的翻訳が出たために日本では売れなくなったのだ。

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 誤訳の内容については「すさまじい誤訳」という記事を書いている人がいる。http://dandelion3939.blog38.fc2.com/?mode=m&no=49
 
――力のある人のやっつけ仕事はまだいい。ケアレスミスなら多寡が知れてるから。しかし、この榊原訳みたいな、力のない人の背伸び仕事は、原作者にも読者にも迷惑千万、全く百害あって一利なしだと筆誅しておきたい。
――と気張っても、榊原氏当人が果たしてこれを読んでくれますかな。
――誤訳談義って空しいものだね。

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コメント

榊原氏はもう亡くなっています。氏はフランス文学の翻訳者として知られていますから、
英語はダメだったのかもしれませんが、実はフランス文学の翻訳もダメで、一冊原文と
対照、一冊は気になった個所だけ原文と照合しましたが、一ページに一か所どころでは
ない数の誤訳があります。それでいて時折非常に見事な訳をするので目くらましされて
しまうんですよね。

投稿: M.I. | 2012年1月 1日 (日) 20時22分

亡くなられましたか。何か悪いような気がする。
しかし「時折非常に見事な訳をする」というのは面妖ですね。
むかしは何でもコネで決まっていたのですね。

投稿: 三十郎 | 2012年1月 1日 (日) 20時48分

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