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2012年5月17日 (木)

高校英語と翻訳(1)

 知能的にも精神的にも何のみやげもなく一年を楽しくドイツですごして(1876年に)エディンバラへ帰ってみると、家庭の事情はあいかわらず窮迫していた。父は昇進していないし、二人の弟妹、たったひとりの弟イネスと妹のアイダが帰ってきて母の負担をましていた。ほかの妹ジュリアもつづいて帰ってきた。でも長女のアネットだけはポルトガルへ行って、かなりの俸給をそのまま送金していた。そのほかロティとコニーという妹が同じことをしようとしていた。

 アーサー・コナン・ドイル『わが思い出と冒険』(新潮文庫延原謙訳)の第3章「学生生活の思い出」(p.28)である。

 ちょっと変なところがあるのはすぐ分かるはずだ。

 たったひとりの弟イネスと妹のアイダが帰ってきて母の負担をましていた。ほかの妹ジュリアもつづいて帰ってきた

 イネスとジュリアはどこから帰ってきたのか? どこへ行っていたのだろう?

 原文は?

When I returned to Edinburgh, with little to show, either mental or spiritual, for my pleasant school year in Germany, I found that the family affairs were still as straightened as ever. No promotion had come to my father, and two younger children, Innes, my only brother, and Ida, had arrived to add to the calls upon my mother. Another sister, Julia followed shortly afterwards. ……

 延原謙ともあろう人がこんな間違いをするなんて困るなあ。arrive=到着すると思い込んでいたのだろう。それでは変だからちょっと変えて「帰る」にしてしまったのか。高校程度の英語が分かっていないのだ。昔の(旧制の)早稲田中学の英語教育というのはずいぶんナマクラだったのだなあ。ろくな先生がいなかったのだ。

 私は田舎の県立高校だったけれど、先生はよくできる人だった。高校三年生のときは教科書を早めに上げてジョージ・オーウェルなどを読んでもらった。M先生やS先生に習ったのだから、あとで自分が教える立場になったときはちゃんと予習をして、こういうところは生徒がきっと間違えるから力を入れて教えることにしていた。

 高校生用の辞書、たとえば三省堂の新グローバル英和辞典でarriveを引いてみると

(1)   到着する, 着く;(ここへ)来る;at, in, on, upon ..に〉

であるが、五番目の意味として

()a)〔時機などが〕到来する, 〔出来事などが〕起こる._when the right time s 潮時が来たら.

b)《話》〔赤ん坊が〕産まれる.

_The baby d near dawn. 赤ん坊は夜明け近くに産まれた.

  コウノトリが運んできて「この世界に到着する」と考えればいいのだろう、とでも、私が先生なら生徒に言っておくところだ。 

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コメント

まずはお帰りなさい。
お仕事は一段落でしょうか。成果を楽しみにしています。
arriveの件、勉強になりました。
最近、OxfordのOALDを使い始めたのですが、それには
to happen or to come, especially you have been waiting for it
と説明があった後に
The baby arrived early.
という例文が載っていました。

投稿: ころんぽ | 2012年5月19日 (土) 08時35分

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