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2013年6月 6日 (木)

同業者にあらず

 拙著『シャーロック・ホームズの愉しみ方』はありがたいことに好評のようである。あちこちで褒めていただいた。
 例外は一つ、ヒマラヤ敗者日記という悪質なブログがあった。拙著の「ここが間違っている」という批判をしていただければ訂正する。「面白くない」という批判ならば甘んじて受ける。ところがこのブログでは私のプロの美人=社交界の花形美女説を英語のサイトのパクリであると誹謗している。本来なら名誉毀損の訴訟をしてもいいのだが、面倒だから悪い敗者ヒマラヤ某を糾弾するにとどめる。くたばれ!
 褒めてくれた人でも「誤訳へのツッコミはもう少し控えめでも良いんじゃ?と思うけど」などという留保をつけていることが多いようだ。
 あるサイトでは、過分のおほめの言葉をいただいたが、

御自身も翻訳者でいらっしゃるので、翻訳の誤訳にはやたらと手厳しい。
辞書ぐらい調べろよ、という感じでした。
そこまで言わなくても、と思ってしまった。同業者なんだし。

 そうかなあ? 「そこまで言わなくても」かなあ? 誤訳は重大な問題だと思うけれど。だいたい僕は誤訳家諸氏と同業者じゃないのだ。
 本業はいわゆる実務翻訳で、契約書や法律などの和文英訳が多い。誤訳をすると、クライアントの会社に莫大な金銭的損失をかける。だから細心の注意を払って訳する。それでもウッカリ間違いがあれば翻訳会社でチェックしてくれる。
 ブンガクの場合は実務とは違う? 細かい字義よりも読みやすい日本語が大切だ?
 これには賛成できない。
 仮に我々が日本語ができなくて、漱石を英訳で読まなければならないとしたら、どうだろう? 坊っちゃんや赤シャツの人物像は正しく訳してくれなくては困るだろう。モリアーティ教授が「軍人の家庭教師」などというのは、正典を日本語で読む読者を惑わすとんでもない大誤訳ではないか。
 この間、村上春樹『アフターダーク』のドイツ語訳をのぞいてみた。よくできた翻訳であるが、つまらないところで間違っている。主人公の女の子が「黒縁の眼鏡」をかけているのだが、「縁」という字を読み違えたらしく、「黒緑の眼鏡」と訳してしまっている。真夜中のファミレスでダークグリーンのサングラスをかけている女の子?
 実務でも文学でも、翻訳者は読者に対して重大な責任を負っているのだ。

★コメント欄に「通りすがり」という匿名で卑怯なコメントを書いたやつがいる。削除した。
私は自分が誤訳をする可能性があることはよく知っている。弘法も筆の誤りだからね。どこがどう間違っているという具体的な指摘をしてくれれば歓迎する。この通りすがりなる人物は具体的な例を挙げずに翻訳ソフトがどうこうなどと卑劣な仄めかしをしたから削除した。 
 

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