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2014年10月16日 (木)

あの女の夫(1)


「コンサートに出演するときを除けば、めったに外出しないが、ひとりだけ、ちょくちょく尋ねて来る男客がいる。色が浅黒く、颯爽とした感じの二枚目で、これが日に一度は必ず顔を見せるし、ときには二度あらわれることもある。名はゴドフリー・ノートン、法曹学院イナー・テンプル所属の弁護士。」(深町真理子訳)

 ゴドフリー・ノートン氏は「色が浅黒い」? オバマさんのような顔の色だろうか? そう言えば大統領は元弁護士だったが。
 原文を見てみよう。

Seldom goes out at other times, except when she sings. Has only one male visitor, but a good deal of him. He is dark, handsome, and dashing, never calls less than once a day, and often twice. He is a Mr. Godfrey Norton, of the Inner Temple.

  深町さんはdarkという英語が分かっていないのだ。困るなあ。こういうときはドイツ語かフランス語の訳を見てみるのがひとつの手だ。独仏語なら、たいてい直訳だから。
She hat nur einen maennrichen Vesucher, den allerdings oft. Er ist dunkelhaarig, stattlich und elegant; Er kommt nie seltener als eimal pro Tag, oft sogar zweimal.(ウムラウト→ae)
 
 ドイツ語ではdunkelhaarigとなっている。再英訳すればdark-hairedだ。
 延原謙氏はどう訳しているか。
「出演のときは別だが、これ以外の時間に出かけることは、ほとんどない。訪ねてくる者としては、男客が一人あるだけ。それもかなりしげしげやってくる。髪も目も黒っぽい、おしゃれな美男子で,日に一度来ない日はないが、どうかすると二度来ることも珍しくない。名前はゴドフリー・ノートンといって、イナー・テンプルにいる男だ。」

 darkは「黒い」よりも「黒っぽい」の方がよろしいだろう。日本人から見れば茶髪でもdarkというのだ。「目も」はどんなものだろう。西洋人には髪は黒っぽくて碧眼の人もいるのじゃなかろうか。
 それにしても「新訳」とは何だ。延原さんがせっかく正しく訳しているのを、直して間違っては困るよ。(「法曹学院イナー・テンプル所属の弁護士」と分かりよく書いたのは偉いけれど。)

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コメント

肌の色と眼の色が取り違えられていた例は「恐怖の谷」にもあったと記憶しています。
訳者がどなたかは忘れました。

投稿: ころんぽ | 2014年10月18日 (土) 15時11分

ありがとう。
She was a beautiful woman, tall, dark, and slender, some twenty years younger than her husband.
の箇所かな。

投稿: 三十郎 | 2014年10月19日 (日) 06時58分

男性に描写だったと思います。

投稿: ころんぽ | 2014年10月26日 (日) 14時39分

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