非暴力直接行動について。
しかし、議論なんてアホらしくなってきました。
運送会社の倉庫に忍び込んで盗み出した鯨肉を堂々と見せびらかして、「横領を告発する」だって。
盗人猛々しい。三分の理もない。
そんなことが日本で通用すると思っているのか? どこの国でだって通用しないよ。
自分たちをマハトマ・ガンジーになぞらえるとは図々しい奴等だ。
もちろん月とスッポンなので、まともに真面目に相手にしてはいけません。
しかし、せっかくガンジーとの比較をやりかけたのだから、ちょっと極端な場合を考えてみよう。
ガンジーはヒンドゥー教徒として「牛は神聖だ」と信じていた。もちろん牛肉は食べなかった。
南アフリカの支配者の白人はキリスト教徒だから、かわいそうにも牛の神聖性を知らない。ビフテキなんかを食べて罪を犯している。彼らを助けてあげなければならない。ガンジーは牧場、精肉所、レストランなどに対して非暴力直接行動を起こした――としたら、どうなっただろうか? 答えは明らかでしょう。
ガンジーは1896年に殺されかけている。27歳のときだった。南アフリカに来て3年で、まだ非暴力直接行動は始めていない。在留インド人の人間としての尊厳を守るための言論活動をしていただけだ。
一時帰国していたインドから戻ってダーバンの港に上陸したガンジーを白人の若者たちが見つけた。
「お前は新聞に載っていた男だな」と誰かが叫んでガンジーを後ろから蹴った。男たちは石や煉瓦のかけらをぶつけ、ガンジーのターバンを引きむしってパンチを浴びせはじめた。幸いにもダーバンの警察署長夫人が通りかかり、ガンジーを助けに駆け寄った。彼女はガンジーのそばに立って、パラソルをひろげて彼のむき出しの頭を守った。暴徒もさすがに警察署長夫人には手を出しかねてたじろいでいるうちに、警官隊が駆けつけ、ガンジーを知人の家に連れて行った。
しかし暴徒は後をつけてきて家を取り囲み、焼き討ちにしてやると脅かした。警察署長が駆けつけて戸口に立った。彼は暴徒をなだめようと、「リンチにかけろ」という歌を一緒になって歌った。
リンチにかけろ、ガンジーを
酸っぱいリンゴの木に吊せ
その間にガンジーの傷に手早く包帯が巻かれ、巡査たちが裏口から連れ出した。彼らは塀を乗り越え柵の間をすり抜け狭い裏道を通って、ようやく警察署に辿り着いた。署長がガンジーは逃げてしまったと告げ、群衆は解散した。
危ないところだったのだ。この警察署長夫人のような人が出てくるのが英国文明の偉いところなのだが、それはガンジーのメッセージが届いていたからだ。「聖牛を守れ!」では駄目です。
現代でも同じだ。アメリカやイギリスのマクドナルドの前でインド人が
The cow is sacred. Beef-eating is a deadly sin.
というプラカードを掲げて立ったとしたらどうか。すぐにぶち殺されます。
グリーンピース・ジャパンの諸君、日本人がおとなしいことに感謝したまえ。